立 山
たてやま

2,991.6m

先人の苦労を偲びつつ、
立山黒部アルペンルートを利用し、
最短時間で3,000mの頂に立つ。
 
エリア 日程日帰り(前夜車中泊) 日付2007.08.20 天候晴れ
同行者単独 TIME(休憩含む) 但し、往復の交通機関は除く3時間25分
コース ((前夜泊)扇沢駅前駐車場) 扇沢(関電トンネルトロリーバス)(7:30)⇒黒部ダム(7:46)→徒歩→ 黒部湖(8:10)(黒部ケーブルカー)⇒黒部平(8:50)(立山ロープウェイ)⇒大観峰(9:15)(立山トンネルトロリーバス)⇒室堂(9:25)→ 一ノ越山荘(10:03)→雄山(10:52)→休憩→一ノ越山荘(11:55)→みくりが池温泉(12:40)→入浴(13:25)→室堂(14:15)(立山トンネルトロリーバス)⇒ 大観峰(14:40)(立山ロープウェイ)⇒黒部平(15:00)(黒部ケーブルカー)⇒黒部湖(15:05)→徒歩→黒部ダム(15:35)(関電トンネルトロリーバス) ⇒扇沢(15:51)

カシミール5万分の1地形図より作成
【参考】国土地理院2万5000分の1=立山


今回は3ヵ月ぶりの山歩きです。普段運動らしきこともしていないので、体がだいぶなまっています。 これではハードなコースはとても無理です。それにこの猛暑。なんでも74年ぶりに国内最高気温を 更新したとかで、埼玉県熊谷と岐阜多治見で40.9℃を記録したそうです。こうなるともう決まりです。 涼しくて楽に登れる山。そうだ黒部アルペンルートを利用し、3千メートルの別天地に行こう。
お盆休みの翌週で人出はまばら、天候は先週に引き続きこれ以上ない快晴に恵まれました(ちょっと複雑な気持ち)。 登山口までは扇沢から、難工事に伴う先人たちの苦労を偲びつつトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイ、 そして再びトロリーバスと4回乗り換え雲上の室堂に到着です。途中雪渓が残る登山道を歩き、吹く風は夏の 猛暑に慣れた体には最高に心地よく、真っ青に澄んだ夏空の下、乗鞍、槍ヶ岳、穂高連峰のすばらしい 景観を楽しみました。室堂に下山後は日本一の高所(2,410m)にある雲上の湯、みくりが温泉で 立山連峰の雄大な山々を望みながらひと風呂浴び、扇沢へ下山しました。



正面の建物が立山黒部アルペンルートの扇沢駅です。
写真は3段目の無料駐車場で上の2段は一日1,000円の有料駐車場です。 扇沢駅には24時間利用できる駅のトイレ(水洗)があり、自販機や水もあります。

駐車場(P泊)

中央自動車道から長野自動車道豊科ICを出て、そのまま直進し国道147号線に合流します。 大町方面へ走行し、JR信濃大町駅を過ぎ、しばらく走ったら表示に従い扇沢方面へ向かいます。 山中の観光道路で整備された走りやすい道です。道なりに走り、突き当りが扇沢です。
立山黒部アルペンルートの扇沢駅前に大きな駐車場があります。駅前はバスロータリーになっており 一般車進入禁止で、その下2段が一日1,000円の有料駐車場です。さらにその下2段とスノーシェード 出口横の3ヵ所が無料駐車場になっています。無料駐車場も舗装区画されており、駅まで数十メートル 遠いだけで、ここは悩まず無料駐車場へ車を入れました。
なお、ハイシーズンで扇沢駅付近が満車の場合は、扇沢手前8qの籠川臨時駐車場へ案内され、籠川 からは無料シャトルバスかタクシーを利用することになります。
前日に到着した時はまだ夕暮れ前で、駐車場は半分程度の利用状況でした。立山黒部アルペンルートの最終 トロリーバスが到着した後も、3割程度残っており、どうやら山で何泊かする車のようです。ここ扇沢の 標高は1,433mで、寝苦しくもなく快適な一夜を過ごしました。朝に温度計を見ると車中で16℃で毛布一枚でちょど 良い気温でした。なお、駐車場は昨晩から朝方にかけて到着した車で満車状態になっていました。



立山黒部アルペンルートで室堂へ

立山黒部アルペンルートの扇沢駅で登山口のある室堂までの往復切符を購入します。
ここ扇沢から登山口のある室堂までは、トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイ、 そして再びトロリーバスと4回乗り換えます。それぞれ乗っている時間は短いのですが、 乗り換えなどで2時間はかかります。料金は往復割引で8,800円です。 単純に都心を走る乗り物で、この値段なら高すぎますが、山岳トンネルの難工事と利用した場合の 時間の節約を考えると決して高いとは言いません。


扇沢駅→黒部ダム駅<関電トロリーバス>

7時35分
扇沢から関電トロリーバスで黒部ダムへ出発です。
乗車時間は正味16分間です。
当初は6時30分の始発に乗る予定でしたが、これはお盆の時の運行で、
通常はこの7時35分が一番です。


(写真左)7時46分、黒部ダム駅に到着し、わき目も振らずダムの上に向かいます。
先を急がない観光客は展望台へ向かう人もみられます。
(写真右)トンネルの先に黒四ダムが見えてきました。


天候を心配していましたが、トンネルを抜け、ダムの上から立山方向を見れば青い空が輝いています。


ダムの上を500mほど歩いて、対岸へ向かいます。


途中、放水口が見える場所からは、豪快な水のしぶきが見えます。


(写真左)黒部湖駅のある対岸に到着です。駅はこのトンネルの中にあります。
(写真右)トンネルの中にある黒部湖駅です。


黒部湖駅→黒部平駅<黒部ケーブルカー>

8時10分
黒部湖駅からケーブルカーで黒部平駅へ向かいます。
乗車時間は正味5分間です。
このケーブルカーはすべてトンネルの中を登っていきます。窓の外は何も見えません。



黒部平駅1,828mに到着しましたが、次に乗るロープウェイは8時50分発で、30分近く時間があります。
駅の上の展望台へ出て景色を楽しみます。正面には、これから向かう大観峰がぽっかり口を開けており、 その上右にはこれから向かう雄山に連なる大汝山、富士ノ折立が良く見えます。
真後ろには赤沢岳、鳴沢岳、その左後方には鹿島槍ヶ岳、五竜岳が手に取るように見えます。



黒部平駅→大観峰駅<立山ロープウェイ>

8時50分
黒部平駅から大観峰駅へ立山ロープウェイで向かいます。
乗車時間は正味7分間です。


このロープウェイはケーブルを支える柱が一つもない珍しいロープウェイです。
(写真右)後ろを振り向けば黒部湖と赤沢岳、鳴沢岳の山々が見えます。



大観峰駅→室堂駅<立山トンネルトロリーバス>

8時59分
大観峰駅から室堂駅へ立山トンネルトロリーバスで向かいます。
乗車時間は正味10分間です。


トンネルの途中には対向車とすれ違うための場所があります。
(写真右)この場所には黄色い電光掲示で立山直下とあります。ここはこれから登る立山の真下に位置する場所です。
途中にある破砕帯を示す青い電光帯も、バスでほんの一瞬で通過です。この80m間の破砕帯を進むのに1年を要したとはやはり難工事だったのですね。


室堂

9時11分
大観峰駅から室堂駅へ到着です。
室堂ターミナルを出ると、たくさんの観光客が高原のさわやかな空の下、
思い思いに散策などしています。



すぐ横には立山玉殿の湧水という有名な名水が湧いています。
多くの人が飲んだり、ペットボトルに詰めています。
ここからは立山雄山へ向かって登山ルートを進みます。


9時15分
石で固められた遊歩道を一ノ越山荘へ向かって歩き出します。
正面上方にはこれから向かう立山の頂が望めます。
登山道に続く遊歩道をゆっくり歩きます。
吹く風はさわやかで、汗をかいた体には心地よく感じます。



どの山が立山?
「立山という名前の山はなく、正面に見える台形の山「雄山」「大汝山」「富士ノ折立」を 総称して「立山」と呼ばれています。
立山開山は大宝元年(701)佐伯有頼によってなされたといわれ、日本三霊山の一つとして、平安時代 から登拝されてきました。」




観光客がいなくなった遊歩道を一ノ越山荘へ向かいます。
最高の天気になってきました。
薄手の長そででちょうどよい気温です。




途中、遊歩道を覆っている雪渓が2ヵ所あり、滑らないよう慎重に歩を進めていきます。




この辺まで来ると、一ノ越山荘がはっきりと確認できます。




振り向いて、室堂方面。
左下に歩いてきた遊歩道が見えます。



途中ベンチのある休憩所脇の祠。
自然の猛威に耐えています。



一ノ越山荘がだいぶ近くになりました。
風除けのための石垣が周りを囲っているのが良くわかります。
登山客の姿も確認できます。



後方の室堂平方面を望む。
手前に室堂山荘、その奥の大きな池がみくりが池、右横はみどりが池。








10時03分。
一ノ越山荘2,700mに到着しました。
石垣に沿ってここを右に行けば、ザラ峠から五色ヶ原。戦国時代の織田の武将、佐々成政が 徳川家康に援軍を求め連絡のため、激冬期に越えた峠といわれています。100名の武将が8日間を要したとか。 戦国ロマンを感じながら山荘前の広場で小休止です。


一ノ越山荘

山荘前の広場にはトイレやベンチがあり、多くの登山客が休憩しています。
東一ノ越方面は展望が開け、槍ヶ岳を中心とした北アルプスの山々が一望できます。
(写真右)槍ヶ岳


10時10分
小休憩後、尾根を左へ折れ雄山へ向かいます。
一ノ越と雄山の高低差は300m。ここからは急登のガレ場のルートです。
今までのハイキング気分と打って変わって、手足を使った登りです。


しばらく登った場所から、後ろを振り返ると一ノ越山荘の全景がよくわかります。
広場手前に屋根の一部が見えていますが、これがトイレです。



ルートは分かりやすく、ペイントのマークをたどって登っていきます。



ガレたルートは良く踏まれてはっきりしています。
この時期夏休みということもあり、小学生それも1,2年生程度のお子さん連をよく見かけます。
なぜか男子よりお父さんに連れられた女子が多いようです。


途中の小さな祠。その先は室堂平方面(みくりが池)



途中休憩にちょうどよい肩に乗りました。
小さな道標があり、三ノ越と書かれています。雄山まで250mの地点です。
上を見上げれば頂に建つ雄山神社の社務所が見えています。


雄山

10時52分
雄山頂上に到着です。
頂上には大きな社務所が建ち、その前が休憩所になっています。
社務所の中に入ると、巫女さんのいでたちの若い女性が3人いました。
この時期大学生のアルバイトでしょうか。交替で山頂の社務所に寝泊まりしているのでしょうか。
社務所は広く、かなりの人数が暮らせる規模です。


一等三角点と名盤です。
2,991.6mとあります。


実は、この雄山の本当の頂上はこの先にある岩山の上なのです。3,003m。
岩山の上には雄山神社が建っています。


ここへ行くには、雄山神社参拝料として500円払った者だけが、登れるシステムなのです。



せっかくここまで来たのだからと、参拝するグループが前を過ぎて行きました。
ここまで来て拝金主義とは。個人的には自然を冒とくしているようで、がっかりです。
国土地理院が設置した一等三角点の方が、ずっとありがたく感じます。



頂上からの北アルプス(槍ヶ岳)
11時15分。
ベンチで休憩し、簡単な昼食をとり下山開始です。
復路は往路をそのまま下ります。


室堂平

12時22分。
室堂まで下りてきました。
アルペンルートで来た普段着姿の観光客で室堂周辺はいっぱいです。
ザックを背負った山の格好の人はほとんどいなく、ちょっとはずかしい思いです。


12時35分。
みくりが池に到着しました。
水の青さと空の青さがマッチし、最高の眺めです。

みくりが池
『立山火山の水蒸気爆発によってできたくぼ地に水が溜まった池です。
プランクトンやカワラゲの幼虫はいますが、魚はいない貧栄養型の湖沼です。
「みくり」は「御厨」と書き神様の食物を調理するところをいいます。』



このみくりが池の湖畔には日本一高所のみくりが池温泉があります。
日帰り入浴を受けてくれるので、こちらまで足を延ばしました。
入浴後は室堂ターミナルへ向かい、多くの観光客と一緒に扇沢駅まで 立山黒部アルペンルート戻り帰途に付きました。
(写真左)多くの観光客で賑わう室堂ターミナル前。



立ち寄り湯


みくりが池温泉】富山県中新川郡立山町室堂平
入浴料600円、9時〜16時、4月中〜11月中、Pなし、076-465-4595
温泉小屋ですが、日帰り入浴も受け付けてくれます。日本最高所の温泉として人気があります。ここは登山客より観光客の方が多いようです。 入口で日帰り温泉を告げ、600円を支払います。靴はロビー奥にスキー用の乾燥室を兼ねた部屋の靴用ロッカーに入れます。 なお、入浴記念に本温泉の記念コースターをいただきました。風呂は食堂脇を抜け奥に行った左手にあります。更衣室前の貸ロッカーに ザックを入れ、風呂場へ向かいます。風呂自体は内湯のみで、同時に10人程度でいっぱいの感じです。泉質は単純硫黄泉で白濁した湯です。 内風呂は二つあり、ひとつは熱めで他は自分にとってちょうどよい湯加減でした。風呂場の窓からは硫黄で白く見える地獄谷と立山連峰の 雄大な山々が望め、とても贅沢でありがたい気分になりました。



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