西穂高岳
にしほたかだけ

2,908.6m

新穂高ロープウェイで北アルプスの核心部分を、
前夜泊で日帰りで楽しむ。
西穂独標から望むピラミッドピーク、西穂高岳の岩峰、大障壁の迫力に圧倒される。
 
エリア 箱根 日程日帰り(前夜泊) 日付2006.08.11 天候晴れ
同行者単独 TIME(休憩含む)7時間18分
コース 登山者用専用無料駐車場→新穂高温泉駅(新穂高第1ロープウェイ)鍋平高原駅→しらかば平駅 (新穂高第2ロープウェイ)西穂高口駅(7:33)→西穂山荘(8:32)休憩(8:45)→西穂独標(9:45)→ピラミッドピーク(10:16) →西穂高岳(11:03)休憩(11:34)→ピラミッドピーク(12:21)→西穂独標(12:48)→西穂山荘(13:45)休憩(13:58)→ 西穂高口駅(14:51)(新穂高第2ロープウェイ)しらかば平駅→鍋平高原駅(新穂高第1ロープウェイ) →新穂高温泉駅→新穂高温泉駅→登山者用専用無料駐車場

カシミール5万分の1地形図より作成
【参考】国土地理院2万5000分の1=笠ヶ岳、穂高岳


長期の夏休みがとれましたが、そのうち山へ行けるのは2,3日間です。北アルプスで前夜泊で日帰りできる山域 となると限られますが、今年は西穂高岳へ行くことにしました。
昨年の焼岳は天候がいまいちで、頂上からの景観を楽しむことができませんでしたが、今年は昨年の分の借りを 返してもお釣りがくる程の快晴に恵まれ、西穂高岳からアルペンムードたっぷりの景観を堪能してきました。
新穂高ロープウェイを利用すれば誰でも北アルプスの核心部分を歩くことができます。しかし西穂独標からは 岩場の登下降を繰り返し危険度が一挙に増し、さすがにここから先は人が限られます。西穂独標から足場の悪い中を 進むと、ピラミッドピークの岩峰、大障壁の迫力に圧倒されます。
そして目指す西穂高岳に到着。ここから穂高連峰から槍ヶ岳にかけての荒々しい稜線が目前に広がり、下を見れば 梓川から上高地を俯瞰でき、北アルプスの核心部分にいることが実感できる至福の時を過ごしました。
下山後は駐車場前の蒲田川を吊橋で渡り、渓谷露天風呂で人気の「深山荘」の秘境ムード満点の 露天風呂で汗を流し、今年の夏休みも満足のうちに終わりました。

蒲田川沿いにある無料駐車場です。舗装され区割りもあり約200台駐車可能です。
簡易トイレが1つ有るのみで、水場や自販機はありません。ここから7,8分新穂高ロープウェイ乗り場 へ向かった、大型バス専用新穂高第1駐車場脇に水洗の公衆トイレがあります。

P泊・駐車場

中央高速道路経由長野自動車道松本ICから国道158号線を走行。 梓川沿いに走り沢渡、中ノ湯を経由し安房トンネル(有料750円)を抜け、 ここから国道471号線に入り、上宝村へ向かいます。栃尾で川を渡ると T字路になるので、ここを右に進みます。道なりに走れば終点が新穂高ロープウェイ乗り場に 到着しますが、駐車場へはこの手前左約600mにある、深山荘前バス停が登山者専用無料駐車場の入口に なっています。
第1ロープウェイの新穂高温泉駅へは、徒歩15分程の距離がありますが、連泊の登山には 最も利用しやすい駐車場です。最盛期には早朝に満車になるので注意が必要です。
当日は、まだ陽が落ちていない午後7時前に到着しました。すでに駐車場は7割近くが埋まっています。 落ち着ける場所に車を停め、P泊の準備をしている頃には外が暗くなってきました。ここに来る前、徹夜で大阪の 往復をしたばかりなので、寝袋に入ると直ぐ寝てしまいました。



出発

昨夜は早く寝てしまったので、翌朝5時過ぎには目が覚めてしまいました。というより、腰が痛くて起きてしまった ようなものです。やはり車の座席は詰め物をしても平らにはならなかったようです。
車の周りを見ると昨晩空いていた駐車スペースは全部埋まっています。シーズン中は夜遅く到着する人も多いようです。
ここから新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅までは徒歩15分ほどです。
ロープウェイの始発時間は8月1日〜8月第4日曜日までは7時15分です(8月13日〜16日は6時15分)。ゆっくり支度をして 少し早いですが6時過ぎに出発しました。


新穂高温泉駅

駐車場の先を蒲田川に沿って進むと、10分程で新穂高第1駐車場(大型バス専用)脇に出ます。この横には綺麗な公衆トイレがあり ます。そしてさらに5分ほどでロープウェイ乗り場に到着です。やはり早すぎたのか先客は1名で、自分は2番目に入口前に並びました。
そのうち団体客など数十人が並んだころ、7時に扉が開き西穂高口駅(第1、第2ロープウェイ)までの往復切符2,800円 を購入しました。


定刻の7時15分出発です。第1ロープウェイで鍋平高原駅に向かい、そこから2,3分歩いて第2ロープウェイのしらかば平 駅で2階建ての第2ロープウェイへ乗り継ぎます。
写真は2枚とも第2ロープウェイです。2階と1階の乗り場は別で、写真左は2階部分への乗り場です。
第1ロープウェイは4分、第2ロープウェイは7分の乗車で、標高1,117mから一挙に2,150mの西穂高口駅に到着しました。
天気は快晴、窓からは穂高連峰の山並みがくっきりと見えます。今日の素晴らしい登山日和を暗示しているようです。


西穂高口駅

西穂高口駅の屋上は展望台になっており、ここからでも素晴らしい景観が堪能できます。
一般の観光客は、ここ西穂高口駅周辺の千石平園地を散策して戻ります。
登ってきたロープウェイ方面を振り向くと、正面左に笠ヶ岳2,898m、右に抜戸岳(ぬけど)2,813mが見えます。 北アルプスに来たと実感する瞬間です。


右手には北アルプス唯一の活火山焼岳2,455mの茶色い地肌とゴツゴツした山容が見えます。
昨年はあの焼岳に登り、瓦礫の斜面に手を焼いたことを懐かしく思い出します。
昨年との大きな違いは、素晴らしい天候です。昨年は焼岳から穂高連峰は雲にかかり望むことができなかったのです。



左手には、今日の目的地である西穂高岳2,909mが望めます(写真右の中央)。
その西穂高岳の左には特徴のある三角の尖った山、槍ヶ岳3,180mも見えています(写真左)。



良く見ると西穂高岳の右下に西穂山荘が見えます。今日はこの西穂山荘を経由して西穂高岳に向かいます。
時間にして1時間から1時間半の距離ですが、かなり近くに感じます。


登山口

7時33分。西穂高口駅を後にして、千石平園地を通って登山口へ向かいます。
今の時期、千石平園地に花はありませんでした。
(左)振り向いて見た、西穂高口駅


7時37分。
西穂高口登山届所の小屋に到着し、登山届けをポストに投函し手入れの良い針葉樹林帯の道を進みます。
小屋の横はゲートのようになっており、一般観光客はここで引き返します。


岩交じりの千石尾根を進みます。
あまり急坂はありませんが、大きな石が混じり、少し歩きにくい道です。



8時30分。
大きな小屋が見えてきました。西穂山荘裏手に到着です。



西穂山荘

8時32分。
左手にある東邦大学西穂高診療所(写真左)の前を通過し、西穂山荘に到着です。
まだ朝も早い時間なので、登山者はまばらです。
ウッディな西穂山荘前の広いテラスのベンチに腰をかけ、おむすびの朝食を食べ、しばし休憩を取りました。


8時45分。
小休憩後、テラスの前にある東邦大学西穂高診療所の横の大きな岩の登山道を上がっていきます。



ここからは丁度森林限界を越えた場所で、高い木はなくなり、ハイマツ帯を登り始めます。
後ろを振り返ると、山荘の後方にハゲ山の焼岳が良く見えます。
焼岳は北ア唯一の活火山で、今でも山頂火口付近は噴煙に覆われています。そもそも大正池は大正15年の 焼岳の噴火で形成されたものです。その後活動が小康状態になったのをきっかけにして、平成4年に一部登山規制が 緩和されています。






ハイマツ帯を登り始め、緩やかな登山道を進むと展望抜群の稜線歩きになりました。
正面には丸山ピーク(写真右端)の先に顔を出す西穂独標、その左にはひときわ目立つピラミッドピーク、 そしてその左に西穂高岳が見えます。



目の前の丸山を目指し、大きな石が転がる稜線を登って行きます。
丸山を越えてジグザグに進み、左斜面を登るようになると西穂独標の下に出ました。右に回りこむようにして 最後の登りにかかります。岩の間を足元に気を付けながら登れば、まもなく西穂独標です。
(左)写真右端の丸山を目指して瓦礫のコースを進みます。その左にちょこんと頭を出しているのが、西穂独標と ピラミッドピークです。
(右)丸山直前の眺め。前に行く人が良く見えます。

西穂独標

9時45分。
西穂独標に到着です。右に見える山は笠ヶ岳です。
ここまではそれほど苦労することなく独標の頂上に立てます。
一般の登山者の多くがここで引き返して行きます。
独標は高度感のある山頂で、ここからでも充分にアルペン気分を楽しめる山です。

西穂独標から先を望むと、ピラミッドピークとその先に西穂高岳が見えます。
そしてここから先は、登山道が激変します。大小13のピークが連なり、痩せた岩尾根の登下降が続きます。

9時51分。
小休憩後、気を引き締めてピラミッドピークへ向かいます。
写真の垂直に下る岩の中に人が見えますか?
ここからは、この様な登下降が延々と続きます。

(左)ピラミッドピーク直下に到着です。ここからの眺めでは西穂高岳より高いのではないかと思えます。
(右)ピラミッドピーク直前の写真です。右手にピラミッドピークが見えています。良く見るとピラミッドピークとその途中の 痩せた岩尾根に人が居るにが見えます。


ピラミッドピーク

10時16分。
ピラミッドピークに到着です。
正面には西穂高岳がそびえています。ここまで来て、やはり西穂高岳のほうが高いと、変に納得です。
まだまだ先に見える西穂高岳に、気持ちが萎えそうになりますが、気力を振り絞って出発です。

痩せた岩尾根の登り下りの先に見える西穂高岳。
やはり簡単には登れません。

西穂高岳直下に到着です。西穂高岳から降りてくる集団が見えます(写真)。
すれ違い際に「もう直ぐ絶景が見れますよ」と声を掛けられました。元気を少しもらい最後の岩場にかかります。
頂上直下の岩尾根は大きな岩とガレた急斜面で、手足の置き場が難しくルートを選ぶ場所です。
ここで前に行く男女のペアに追いつきました。上から瓦礫が少し落ちてくるので、しばらく様子を見て登りはじめました。 間もなくガラガラと音がするので上を見上げると同時に「ラク!」と男性の大きな声が響き渡りました。 見るとこぶし大の石がバラバラ落ちてきます。距離が開いていたので落ち着いて石の落ちて来る所から逃れました。 どうやら男女のペアの女性がルート選択を誤り、瓦礫をたくさん下に落としてしまったようです。
この男女は山なれた様子で、かなりのハイペースで上がってきて途中で抜かれた人達です。

西穂高岳

11時03分。
西穂高岳2,909mに(やっと)到着しました。
頂上には先客が4名居ます。うち2名は先ほどの男女ペアです。
連続する岩場と上高地のおだやかな展望が対象的な西穂高岳の山頂です。
吹く風は天然クーラーのごとく爽やかで疲れた体に心地よく吹いています。
腰をおろし、お弁当のお結びを食べ、しばし絶景を堪能し体を休めます。
この先奥穂高岳まで峻険な岩稜は続きますが、日帰りではここまでです。


西穂高岳から先の眺め。
(左)写真中央に三角の突起が出ている特異な山、槍ヶ岳3,180mです。
(中)西穂高岳山頂から先には奥穂高岳3,190mが大障壁とともに続いています。(写真中央)
(右)奥穂高岳(写真左)から右には、吊尾根から前穂高岳3,090mへの稜線が望めます。


痩せた岩尾根の登り下りの先に見える西穂高岳。
やはり簡単には登れません。

11時34分。
名残惜しいですが、30分間の絶景を堪能して、下山にかかります。
下山は同じルートで戻ります。
写真左は、登ってきた後方を振り向いて撮った写真です。(下山ルート)
写真中央には西穂山荘の赤い屋根が見えています。その後方には地肌の露出した活火山の焼岳、さらにその後方には 乗鞍岳3,026mの山々が望めます。
写真右は左の下をズームで撮った写真です。西穂独標からここまでのコースの状況が良く分ります。○印が西穂山荘。

12時48分。西穂独標に戻ってきました。
ここから西穂高岳を振り向くと、綺麗な三角錐のピラミッドピークとそれに連なる西穂高岳(右)が良く見えます。
この写真ではわかりませんが、ピラミッドピークの上に人が見えています。
この西穂独標までは比較的に楽に来れるので、家族連れを含め20〜30人位の多くの人たちが思い思いに絶景を楽しんでいます。 朝10時くらいにゆっくり上がってきたのでしょうか。

13時45分。西穂山荘に到着しました。
ここで小休止です。下山中に思っていたのは冷たいギンギンに冷えたコーラが飲みたい、でした。
さっそく、山荘の自販機へ行くとありました、コーラが売っています。でも細い缶で値段は300円です。
テラスに腰を掛け、冷たいコーラで喉を潤し、しばらくゆっくりしました。
写真はテラスから見た丸山方面(降りてきた方向)です。
(右)山荘の前はテン場になっており、既にいくつかのテントが張られています。この時間はとても暑く、テントには入れません。

13時58分。15分の休憩後西穂山荘を出発し、ロープウェイの西穂高口駅を目指し千石尾根を下ります。


14時51分。朝登山届けを投函した西穂高口登山届所の小屋に到着しました。 下山届けをポストに投函し観光客が沢山いる千石平園地を抜け西穂高口駅 へ向かいます。

15時00分。西穂高口駅から第2ロープウェイでしらかば平駅へ向かい、しらかば平では直ぐに第1ロープウェイには乗り継がず 足湯に浸かり、レストランで軽い食事と地元の搾りたて牛乳を飲んでから、第1ロープウェイで新穂高温泉駅へ向かいました。
今日一日これ以上ない快晴に恵まれ、午後になっても雷雨の心配も無く景色も良く最高の山行になりました。
お疲れ様でした。
その後は、第1ロープウェイの新穂高温泉駅から登山者用専用無料駐車場へ戻り、その駐車場横を流れる蒲田川を吊橋で渡り、「深山荘」の 露天風呂へ向かいました。

立ち寄り湯


深山荘】岐阜県高山市奥飛騨温泉郷新穂高温泉
入浴料500円、8時〜22時、不定休、Pあり、0578-9-2031
新穂高ロープウェイ乗り場手前左約600mにある、深山荘前バス停が深山荘と登山者専用無料駐車場の入口になっています。 深山荘は蒲田川沿いにある登山者専用無料駐車場の対岸に宿が建ち、吊橋を渡って向かいますが、秘境ムード満点のロケーション です。宿の玄関から中に入り、声を掛けると夕飯の支度をしている途中なのか、宿の人が出てきて500円を払います。 露天風呂は宿の庭を進むと、蒲田川沿いに3つあり、他に女性専用が1つあります。露天風呂には屋根の付いた脱衣場があり、 そこで服を脱ぎ、その脇にある露天風呂に入ります。係りの人や扉などは無いので、行けば誰でも入れてしまうような露天風呂です。 訪れた時は一人が上がるところで、結局自分一人で貸切状態でした。露天風呂は、川に向かって3つ 並んでいます。お湯は上から下に流れ最終的には川に流れ込んでいるようです。岩風呂でとても大きく、回りに囲いは なく、そのまま蒲田川につながっており河原の大きな岩を越えて行けばそのまま川に入れます。すなわち川から丸見えなのです。 川の横には道路も走っているので、見ようと思えば車からも見えそうなロケーションです。開放感に浸り、深い山の緑と青空のした、 川沿いの露天風呂に一人で入る。これ以上の贅沢は無いといった感じでした。 湯温は丁度よく、お湯は澄みその中に白い湯の花が漂っていました。なお、蛇口や洗い場はないので、石鹸やシャンプーの使用は 禁止です。是非訪れることをお奨めします。(なお、女性専用は脱衣場を含め周りを塀で囲われ、覗かれる心配はありません。)



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