辺室山
へんむろやま

644m

整備されたハイキングコースを使い
江戸時代に山中見回り役人の通路として使われた物見峠越えは
雰囲気の良い山歩きが堪能できる。
 
エリア 東丹沢 日程日帰り 日付2006.12.23 天候晴れ
同行者単独 TIME(50分の昼食休憩含む)3時間55分
コース 土山峠駐車スペース(8:26)→土山峠登山口(8:28)→辺室山(9:38)休憩(10:21)→ 物見峠(11:06)→物見峠分岐(11:32)→煤ヵ谷(12:09)、バス停煤ヵ谷(12:17)⇒バス停土山峠(12:21)

カシミール5万分の1地形図より作成
【参考】国土地理院2万5000分の1=厚木


辺室山への一般的なルートは煤ヵ谷か土山峠から入る二つのルートがあります。煤ヵ谷も土山峠も 駐車場はありません。あまりお奨めできない場所ですが土山峠にはバス停の 歩道の終点に1台分のスペースがあります。今の時期一般ハイ カーや散策の人はいないので、土山峠の歩道終点に駐車し、辺室山、物見峠、煤ヵ谷とういう周回 ルートで初冬の低山を歩いてきました。
この地区は丹沢の中でもヒルが多い場所です。春から秋にかけてこのヒルが恐くて近づかない場所ですが、 今の時期はヒルの心配はありません。暑くもなく寒くもなく山歩きには最適です。山野草や花はありませんが、山歩きで 一番気持ちの良い時期かもしれません。 のんびりと斜面を歩いているとカモシカがこちらをジッと見上げて いました。鹿はたくさん見ていますが、カモシカには初めて遭遇しました。
辺室山はピークのはっきりしなない山です。 陽の当る頂上一面の落ち葉の中で食べた昼食は、たとえコンビニ弁当でも最高のご馳走です。静かな林の中に落ち葉が 舞い散るカサカサとした音だけが聞こえていました。都会で暮らす身には、このひと時は何物にも代え難い 貴重な時間でした。
昼食後物見峠に向かいましたが、この物見峠は江戸時代に山中見回り役人の通路として使われたことから名付けられた 名前です。江戸時代の役人と同じ道を歩き、当時の役人も見たであろう同じ景色を見ているなんて考えただけでも 楽しくなります。あまり期待をして来ませんでしたが、なかなか雰囲気のある良いルートです。
今年の山歩きはこれが最後です。あまり期待をしないで来た辺室山でしたが、季節を選べば雰囲気のある良い山 でした。終わりよければすべて良しではありませんが今年一年を無事に締めくくることができました。



ここは車の駐車スペースではない。歩道が終わり、土山峠と印された石が設置された その横のスペースに駐車した。この辺りは道端にも駐車スペースはない。

土山峠駐車スペース

国道246号線の県立病院前の信号を右折して、飯山温泉方面へ向う県道60号線に入る。 そのまま道なりに進み、飯山温泉を抜け、尾崎の信号を経由して宮ヶ瀬湖を目指す。 登り道になりしばらくして土山峠バス停に着いたら、その先が駐車場スペースだ。 バス停先の歩道終点に一台分の駐車スペースがある。

今日は土山峠→辺室山→物見峠→煤ヵ谷(バス路線)⇒土山峠へ戻ってくる予定です。


登山口

8時26分。 支度を整え出発です。 登山口は土山峠バス停から厚木方面へ20m戻った場所にあります。
登山カードポストもあり、分り易い登山口です。


車道からすぐに木の土止めの階段を上がっていきます。
最初は急登ですが、すぐに尾根に乗り幅広いルートに出ます。


上がってまもなく、朝日に照らされた宮ヵ瀬湖の一部が望めます。



このルートは大変手入れがされ、
道標もたくさん有り、歩きやすいコースです。



上の道標の近くに小さな石造りの山ノ神があります。
この辺りは里山に近く昔から人の営みの中に組み込まれた場所で、
途中にも山ノ神が幾つかまつってありました。



小さなアップダウンを繰り返し進みます。
この地区は丹沢の中でもヒルが多い場所で、春から秋にかけては
ヒルが恐く近づかない場所ですが、今の時期はヒルの心配はありません。
足元に広がる落ち葉の下でぬくぬくと越冬していると思うと妙な気持ちです。



上り始めて1時間ほど、のんびりと斜面を歩いていると視線を感じ、 見ると緩斜面の下からカモシカがこちらをジッと見上げていました。 鹿はたくさん遭遇しましたが、カモシカは初めてです。
距離はありますがカモシカに間違いありません。お互い立ち止まって見合っていましたが、 カモシカはきびすを返し、落ち葉に埋まった緩斜面をまるでスキーのスラロームのように ザッ、ザッと落ち葉を踏む乾いた音とともに軽やかなステップワークで駆け下りていきました。


辺室山はピークのハッキリしないなだらかな山です。
これでもかと出てくる道標に導かれ、あっと言う間に頂上近くに来ました。
ここが頂上かと思い道標に近づくと辺室山三角点とあり、指示板は右を指しています。
(右)木の枠で保護された三等三角点


2万5千分の1地形図を見るとピークは南へ数十m行った先にあります。
南北に広くなだらかな頂上。


辺室山

9時38分。 辺室山山頂に到着です。 広葉樹の多い山頂は葉を落とした木々の間から陽が差し、明るく温かい場所です。
この辺りは紅葉の時期はきっと素晴らしいだろうと想像ができます。


時間は早いのですが今日のこれから先のルートを考えると昼食をとれるような場所は無いように思えます。 ちょっと早いのですが、ここで朝食を兼ねて昼食にしました。
陽の当る一面の落ち葉の上で食べる昼食はたとえコンビニ弁当でも最高のご馳走です。 静かな林の中に落ち葉が舞い散るカサカサとした音だけが聞こえてきます。 都会で暮らす身には、このひと時は何物にも変え難い貴重な時間です。


頂上からはほとんど展望はありませんが、北東の木が開けた先に仏果山が見えています。


10時22分。
50分の大休憩の後物見峠へ向かって出発です。
ここから物見峠へは南に下って行き、
登り返して小刻みなアップダウンを繰り返します。


登り返すときに振り向いて撮った辺室山頂上。



10時53分。
二本のモミの木の間に小さな石造りの山ノ神が奉ってある場所に到着しました。
ここから道は左へ痩せた尾根をジグザクに下っていきます。


下る正面には三峰山が見えます。



下りの細い尾根道。



物見峠

11時06分。 ベンチのある物見峠の十字路に到着です。
直進すると三峰山へ2.4q、右は丸淵、黒岩2.7q、札掛6.2qです。目的の煤ヵ谷へは左へ3.4qです。
なお、このときは丸淵、黒岩方面は崩落のため通行禁止の表示が出ていました。
この物見峠は江戸時代に山中見回り役人の通路として使われたことから名付けられた 名前です。江戸時代の役人と同じ道を歩き、当時の役人も見たであろう同じ景色を見ているなんて考えただけでも 楽しくなります。あまり期待をして来ませんでしたが、どうしてどうして、ここはなかなか雰囲気のある良いルートです。


物見峠からすぐに注意書きの表示です。
「この先、800m区間は崩壊箇所が多数あります。特に崩壊場所に足元が悪いので、落石に十分注意して通行してください。」
尾根の左斜面にほぼ水平に付けられた道は、左が谷になっていて小規模な崩壊箇所が何箇所かありますが、 写真のように整備され、歩きやすい道になっていました。
作業してくれた人々に感謝しつつ通過しました。


800m区間の最後のほうに一箇所崩壊箇所が残されていました。
鹿よけフェンスのような落石防止の金網が谷川にせり出しており、足元は確保できますが体は網につかまり 蟹歩きで通過しました。


尾根の左斜面を進むと左手に辺室山が見えてきます。
ピークの無い山頂の形態が良くわかります。


物見峠分岐

11時32分。 ベンチのある物見峠分岐に到着しました。
物見峠から1.1q、直進して尾根を登ると三峰山へ2.8q、煤ヵ谷へは左へ下って2.2qです。



今日は年末も押し迫った休日です。今年最後の山歩きに出かけてきましたが、家庭でもお正月の買い物や支度があり 午後2時ごろまでには家に帰らなくてはなりません。2.2q先の煤ヵ谷から土山峠までは2.5qありかつ登り坂ですので、路線バスで 戻ることとしました。出発時に土山峠バス停の時刻表を確認すると毎時21分にバスが来ます。手前の煤ヵ谷からですと 逆算して12時10分ごろまでに到着すればバスに乗れる計算です。現在時間は11時32分、残された時間は38分です。


ここから煤ヵ谷まではところどころ傾斜のキツイところもありますが、おおむね緩やかな下り坂です。
膝痛が出る恐れもありましたが、気持ちでは脱兎のごとく2.2qを飛ばして下ってきました。


12時03分。登山口に到着です。
前回6月に三峰山から谷太郎側へ抜けたときに、同じ区間を歩きましたがこのときは普通に歩いて42分でしたが、 今回は31分で下ってきました。


ここからは正面に見える煤ヵ谷の集落を抜け、宮ヵ瀬と本厚木を結ぶバス路線へ一目散です。



煤ヵ谷

12時09分。 煤ヵ谷バス停に到着です。時刻表を見るとバスは12時17分で、10分近くの余裕をもって到着です。
そして路線バスにのり土山峠へ戻りました。時は金なりではありませんが、このときの170円は安く感じました。
今年の山歩きはこれが最後です。あまり期待をしないで来た辺室山でしたが、季節を選べば雰囲気のある良い山 でした。終わりよければすべて良しではありませんが今年一年を無事に締めくくることができました。




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