御正体山
みしょうたいさん

1,681.6m

道志山塊最高峰の山。
丹沢に比べ人も少なく、静かな山行が楽しめる。
秋には多くの花が咲き、楽しみが倍加される。
 
エリア 北丹沢 日程日帰り 日付2005.9.19 天候晴れ
同行者単独 TIME(休憩含む)6時間22分
コース 山中湖高原ホテル跡駐車場(7:24)→石割山分岐(8:26)→奥ノ岳(8:39)→鉄塔(8:46) →中ノ岳(9:33)→前ノ岳(小御正体)(10:08)→御正体山(10:55)休憩(11:26)→前ノ岳(小御正体)(11:59) →中ノ岳(12:20)→鉄塔(12:48)→石割山分岐(13:09)→山中湖高原ホテル跡駐車場(13:46)

カシミール5万分の1地形図より作成
国土地理院2万5000分の1=御正体山



山中湖高原ホテル跡地(犬伏峠入口)
約20台 有料 1回1,000円  敷地内に洗面用水場あり、自販機あり。

駐車場

国道413号線を山中湖方面へ進む。道の駅「どうし」を過ぎしばらく走ると山伏峠トンネルがあるのでこれをくぐり、出たら直ぐ左の 旧山中湖高原ホテル跡への取り付け道路に入る。
舗装道路を数十メートルほど進んだ先に旧山中湖高原ホテルの廃屋があり、その手前が駐車場だ。
しばらく前までは、取り付け道路のところに鎖があり、3,4台のスペースしかなく、ホテル跡地には入れないようになっていた。 しかし、今日行ってみると鎖は無く先へ入れる。入り口には「土曜、日曜、祝日は登山道入り口を開放」「駐車場一日千円」 の張り紙が出ている。アレッと思ったがそのままホテル跡地へ入っていくと、ホテル廃屋の前におじさんが椅子に座っている。 いつから有料になったのだろう。入り口に停めれば無料になるが、それでも登山道入り口に行くには私有地であるホテル跡地を 通らなければならない。半分納得はできなかったが、そのおじさんに金額を確認して、千円を払う。自分が一番目で他にはだれもいない。 夕方は何時まで入り口が開いているのか聞くと、戻るまでは開けておくから大丈夫と答えた。このおじさんは何なのだろう。身なりが 貧相だ。この土地の所有者に雇われているのだろうか。車がないからここまで歩いて来たのかな。見えないところに自転車でも停めて あるのかもしれない。まさかこの廃屋に住んでいるわけはないよな。自分がすんなり千円を払ったので、おじさんはホッとしたようで 色々話しかけてくる。きっと文句を言って払わない人が多いのだろう。広場を見回すと、有料にしたので申し訳程度にベンチと 椅子が新しく設置されている。その奥にはステンレス製の流しが置かれ、水が使えるようになっている。そして入り口には電気の コードを引いてジュースの自販機まで設置してある。
おじさんが見ている中、登山支度をして広場の横にある鳥居に向かう。ここが登山道への入り口だ。


7時24分。鳥居をくぐり緩やかな坂道を上がっていく。
御正体山は前から気になっていた山だ。道志山塊で一番標高が高く、変わった名前も気になる。 それに昨年の秋に皇太子殿下が 御正体山に登ったというニュースをテレビで見た。きっと反対側の都留市のほうに整備された登山道があるのだろうが、自分は この山伏峠のトンネルから向かう。


7時29分。鳥居から5分ほどでT字路に出る。ここは表示に従い左へ進む。右側から交わる道は、消えそうな表示があり、 良く見ると「菰釣山、高指山」と読める。



しばらくはあまり荒れていない(人間が手を入れていない)土の登山道を進む。
緩やかな道と急な登りを交互に繰り返し、藪が濃い登山道を進む。雨が降ると滑って登れないだろうなと 思うような道だ。


登山道脇には多くの花が咲いている。ちょうど秋の花期に当ったようだ。



(左)【ヤマトリカブト】キンボウゲ科トリカブト属 花期(8〜10月)
(右)【ホトトギス】ユリ科ホトトギス属 花期(7〜9月)


(左)【シラネセンキュウ】せり科シシウド属 花期(9〜11月)
(右)【テンニンソウ】シソ科テンニンソウ属 花期(8〜10月)


(左)【サラシナショウマ】キンボウゲ科サラシナショウマ属 花期(7〜10月)
(右)【ノコンギク】キク科シオン属 花期(8〜11月)


(右)【クサボタン】キンボウゲ科センニンソウ属 花期(8〜10月)


8時26分。石割山の分岐に到着。出発してからちょうど一時間だ。あまりに遅いペースに思わず苦笑い。
途中で花の写真を撮るたびに時間を要してしまい、このような時間になってしまった。このペースで進むと 片道4時間かかってしまう。少しペースをあげよう。


あまり人が入らないようだ。ところどころ笹や草で登山道が覆われているが、踏み跡はしっかりしており迷う心配は まったくない。
緩やかなのぼりを進む。


8時39分。石割山の分岐から13分で「奥ノ岳」1,371mに到着。



8時46分。急に周りの視界が開け、鉄塔(西群馬幹線258号鉄塔)のある眺めのよい草原の広場に出た。



鉄塔の足場に腰を掛け、軽い朝食(サンドイッチ)を食べる。
正面には富士山が見える。快晴とは言えないがうっすらと全体が見える。まだ初冠雪は降っていないようだ。 富士山の右下には山中湖の一部が見え、その右には大きな杓子山がそびえている。
その反対側には菰釣山をはじめ丹沢の山々が連なっている。 冬晴れの日なら素晴らしい眺めが間違いないビューポイントだ。


遅い朝食を済ませ、鉄塔下の草原を越えるとまた林の中に入る。ススキの穂がコース上を塞ぎ歩きにくい。ススキの 見ごろはもう少し先のようだ。
9時05分。しばらく林の登山道を進むと、やけに新しく周りの景色から浮いている道標が設置されている。これを見ると左へ分岐するコースが あるようだ。左手を見ると半分藪に覆われて、たしかに山道が見える。道標には「鉄塔巡視路(外より林道へ)」とある。自分の古い エアリアと2万5千図にはそのようなコースは載っていない。連なっている鉄塔の下を回って、先のほうでまたこの道に合流するように 読めたが、果たして?
それより一番気になったのはここから御正体山まで1時間50分とある。まだまだ先だ。急ごう。



コースは相変わらず、ゆるやかなのぼり下りを繰り返し、少しずつ標高をかせいでいく。
先ほどより大きな木が目立つようになってきた。ブナもまじっている。



9時33分。中ノ岳1,411mに到着。



相変わらず林の中の穏やかなコースを進んでいくと、林の切れ目から左前方に御正体山が見えてきた。
まだまだ先だ。急登がないぶん楽だが、ちっとも標高をかせがない。

(左)【ヤクシソウ】キク科オニタビラコ属 花期(8〜11月)

(左)【トネアザミ】キク科アザミ属 花期(9〜11月)
(左)【サラシナショウマ】キンボウゲ科サラシナショウマ属 花期(7〜10月)


道草をくっているとまた遅くなるのに。懲りないね。

10時08分。前ノ岳1,471mに到着。かろうじて読める薄い字だ。ここはコース上にあり、ピークには見えない。
自分のエアリアには小御正体とあるが、表示には前ノ岳とある。
でもここの名前は変わっている。 下から奥ノ岳、中ノ岳、前ノ岳(小御正体)と頂上に対して、反対のような名称に思える。下から上がってくると 一番前にあるのが前ノ岳で一番奥は奥ノ岳だろうに。

前ノ岳(小御正体)を過ぎると、やっと急登が始まる。まわりもブナの大木が多くあり、人があまり入らないような趣の 上りコースだ。道も草に覆われ遠目からは見えないが、見失うようなことはない。安心して歩けるコースだ。


時期的にトリカブトの花期最盛期のようで、斜面に紫の花が無数に咲いている。群生している場所もあり、こんなに 沢山のトリカブトの花を見たのは始めてだ。(写真では判りにくいが多くの花が咲いている)


10時52分。急登を進むと、穏やかな丘のような斜面になる。相変わらず回りはブナなどの木々の中で、眺望はない。
なだらかな森をなかを進むと、コース右手にブナの大木が横一列に5本寄り添って生えている前に、小さな祠が置いてある。 そばに近づいて見ると、扉のようなものはなく、箱のような形態だ。足は鉄製でまるでどこへでも運べるようにも見える。 やはり信仰の対象の山域なのだろう。

10時55分。3分程で頂上に到着。頂上といっても穏やかな丘のようなところで、ピークらしいものはない。
時間を見ると、鉄塔の先の道標で1時間50分表示で、ちょうど1時間50分で到着した。やはり遅いな。木々に囲まれ視界はきかない。
頂上には小さな祠とベンチがある。先客が2名(単独行の男性2名)がいた。今日はじめて人にあった。このまま誰にも会わなければ 記録だなと思っていたが、残念。
ここでお互いどこから上がってきたのかの話になり、自分が犬伏峠のホテル跡地が有料駐車場になっていたと話すと、一人の 男性が、あんなのは払う必要がないとか、浮浪者のような人を置いているとか、しばし情報交換をする。
木陰で昼食をとる。この間に3グループが到着した(男女2組に単独行男性)。


(左)大きな一等三角点がある。
(右)平成16年10月15日皇太子殿下登頂の表示


11時26分。下山開始。31分もかけて食事と大休憩。情報交換のおしゃべりが効いたようだ。普段は他人とおしゃべりはほとんどしないので、 30分も休むのは珍しい。
ブナとトリカブト中を来た道を戻る。ピストンのコースは面白みに欠けるが、精神的には楽だ。判っている道を歩くのだから。
最近は、初めての尾根や山道を歩くときの緊張感を楽しんでいる。このときは五感を通して自然が身近に感じられる。でも今日は ぶらぶらと下って行く。



赤と白のコントラストが鮮やか。
写真左【マムシグサ】(の果実)サトイモ科テンナンショウ属 花期(4〜6月)
写真右【サラシナショウマ】キンボウゲ科サラシナショウマ属 花期(7〜10月)



11時59分。前ノ岳(小御正体)通過。


12時20分。中ノ岳通過。
この辺りから、久々に左ひざに違和感を覚えてきた。このまま時間がたてば膝痛になり、下りで難儀することが 容易に想定される。快調に飛ばして下ってきたのがまずかったようだ。
最近は普段でも左ひざに違和感を覚えていた。 やはり膝痛が出たか。


12時43分。新しい道標を通過。


12時48分。鉄塔下草原に到着。
鉄塔の土台のコンクリートに腰掛小休止。朝は富士山が見えたが、今は何も見えない。
中ノ岳で休憩していた時に、抜いていった男女が休憩していた。


13時09分。石割山分岐に到着。 ここまでくる間に膝の違和感は、完全な膝痛になり、ペースは半分にダウン。片足を引きずるように下ってきた。
ここを左に折れるが、来る時には確か急登が2箇所ほど有ったはずだ。膝をかばって下る。


13時46分。車の音が良く聞こえる。犬伏峠に近づいているのが判る。
藪の間に赤い屋根が見えてきた。ホテルの廃屋だ。鳥居に到着。
ホテルの前には、朝と同じようにおじさんが椅子に座っている。
駐車場には自分の車の横にパジェロが停まっていた。車の中には鉄塔下で会った男女が休んでいたが直ぐ出発して行った。 今日の収入は2千円かな。こんなのでは商売にならないだろう。いっそのこと 昔のようにホテル跡地を無料で開放しておけばよいのに。と勝手に思う。
水場で手と顔を洗う。おじさんにこれは飲めるかと効いたら、消毒をしてないだけで飲めるよ、と訳の判らない返事。 おい、おいそれは飲めないということだろう。
帰り支度をし、自販機でジュースを買って車に乗り込む。おじさんが立ち上がって頭を下げて挨拶している。こちらも窓を開け 手を振る。自分が出るとおじさんは入り口にロープをしている。もう今日は営業終了か。


立ち寄り湯


【石割の湯】山梨県南都留郡山中湖村平野
入浴料700円(学生500円、子供200円)、10時〜21時、毎週木曜日定休日(7〜8月及び祭日を除く)、Pあり、0555(20)3355
山中湖の平野から413号線で数分。左に入り直ぐある(道志方面413号線からは平野の手前右へ入り直ぐ)。 96年オープンの村営の日帰り温泉。木を使ったドーム形式の施設。
観光地山中湖に近く、また周りはテニス、サッカー、ラグビーなどグランドが沢山あり、合宿など人が多い場所にある。 駐車場は広く横の第一駐車場、前の第2駐車場、そして第3駐車場まであり各駐車場ともかなり広い。しかし込むときは 第3駐車場まで車で埋まる。このようなときの混みようは尋常ではなく、洗い場の確保に何分も並ばなければならないときもざら。
過去に何回か来ていたが、今回が一番空いていた。各湯船に5,6人が入る程度(湯船は露天風呂2、内風呂2、寝湯、サウナ) で洗い場も空きが出てる程度であった。お湯はぬるめでゆっくり浸かることができた。 館内は広く無料の畳の休憩室が2つに、軽食コーナーがある。そして入り口ロビーにはお土産コーナーもある。




山行の記録へ


ホームへ戻る



このページに直接入られた方へ。
当ホームページはこちらです⇒ 晴れときどき山歩記 「丹沢を中心に車で行く、日帰り山歩きの記録」