焼 岳
やけだけ

2,455m

北アルプス唯一の活火山。
岩場とガレ場に思ったより手を焼く。
途中での若人男女6名との、ひと時の出会い。
 
エリア 北アルプス 日程日帰り 日付2005.8.5 天候晴れ
同行者単独 TIME(休憩含む)8時間57分
コース 沢渡大橋駐車場(5:30)路線バス⇒帝国ホテル前バス停(6:05)→焼岳登山口(6:40)→焼岳小屋(8:48)→ 展望台(9:16)→焼岳(10:32)休憩(10:50)→展望台(11:56)→焼岳小屋(12:13)→焼岳登山口(14:02)→上高地バスターミナル(15:02) ⇒沢渡大橋駐車場(15:47)

カシミール5万分の1地形図より作成
国土地理院2万5000分の1=



沢渡駐車場【市営第一駐車場】
200台 一日500円
自動改札なので24時間利用ができる。沢渡大橋停留場の横なので便利。
敷地内にトイレ、洗面用水場あり。

P泊・駐車場

会社の夏休みを利用して今年は北アルプスを目指すこととした。日帰りコースを基本に考えているので、今回は焼岳へ登る。 ついでと言ってはなんだが、翌日は乗鞍岳を登ることとした(昨年は一日目谷川岳、二日目八方尾根を登った)。
今年7月の北陸地方を中心とした大雨で沢渡入口近くの158号線が土砂崩れで不通となっていたが、7月28日午前10時に懸命の 復旧工事のお陰で無事復旧した。平湯からは入れていたが なんでも、このために松本方面からの観光客が半減しているとTVのニュースで報じていた。
焼岳へは上高地からの登るが、ご存知のように上高地には一般車は入れない。バスやタクシーなどの交通機関に乗り換えなければ ならない。その二大基地が沢渡と平湯温泉だ。
沢渡地区は上高地を目指す最大の中継基地で、この地区の駐車場だけで2000台が収容可能だ。駐車場は市営のほかに民間の駐車場も 多数あり、どこも一日500円の均一料金になっている。焼岳を登って日帰りするには、沢渡駐車場から上高地までのシャトルバスによる往復移動時間を入れないで、 正味7,8時間かかりそうだ。 そのためどうしても5:30の朝一番のバスで上高地に入りたい。それには前日夜間から沢渡に入り、いつものP泊をすることとした。
事前に観光協会へ電話で確認すると夜間出入りが可能なのは市営駐車場だというので、翌日の朝一番で 乗るバス停(沢渡大橋停留場)の横にある、市営第一駐車場に車を入れて、P泊とした。
当日の夜間は、駐車率5割程度だが、みなさんここに車を置いてどこへ行っているのだろうか。 夜中から朝方にかけて何台もの車が入ってきたが、考えることは皆同じのようだ。

沢渡大橋バス停留所

4時半に起床し、登山支度をして5時15分に横にある沢渡大橋停留場に行く。既に10人位がバスを待っていた。 ここで沢渡〜上高地の往復切符1,800円を購入し、5時30分の始発バスを待つ。 その間、係員の話では、158号線のトンネルでトラックが事故を起こし、トンネルを塞いでバスが新島々から上がって来れないらしい。 通常なら待ち時間が無いくらいに次々にバス便があるのに、今は始発のこのバスだけしかないと言っていた。
次のバスが来ない中、5時30分バスは定刻どおり出発し、沢渡地区にあるいくつかのバス停でお客さんを拾って満員状態で上高地を目指した。
途中のバス停の大正池で10人程度が下車し、次の帝国ホテル前(終点の一つ前)では、自分一人が下車した。 どうやら、焼岳へ行く人は他には乗っていないようだ。

帝国ホテル前から焼岳へ

(左)帝国ホテル前のバス停から10mほど戻った遊歩道へ入っていく。ほんの数分行ったところで、視線を感じ 林の中を見ると、木の間から大きな日本猿がこちらをじっと見ている。(右)写真を撮っても逃げない (良く見ると真ん中に写っている)。



6時28分。遊歩道を進み、田代橋と穂高橋を渡る。昼間の賑わいが想像できないくらいの静かな林の道といった 感じだ。まもなくT字路に出る、正面には西穂高山荘への入口を兼ねた小屋が建っている。ここを左へ焼岳方面へ進む。 (右は河童橋へ至る)



6時40分。林道を約1`程度歩くと、道路右側に登山口が見えてくる。ここを入っていく。



しばらくは白樺やシラビソの林の緩やかなコースを歩いていく。朝が早いこともあり、陽が射さない薄暗い林の道だ。
とにかく湿気が多く、体にまとわりつく感じだ。汗もじんわり出てくる。蚊が多く、写真を撮るのにちょっと立ち止まるだけで、 直ぐに腕にたかってくる。








7時06分。小さな枯れ沢を越える。下陽沢?
沢を越えた左上がコース続きだ。
ここから本格的なのぼりになってくいる。


7時26分。登山道の林の切れ間から、
これから登る焼岳がはじめて見えた。



7時32分。焼岳小屋まで1時間の案内板。
しかし、このコースは道標が無い。先ほども焼岳小屋が付けた道標が一つあり、これが二つ目。
反面、正式な道標は一つもない(まぁ、迷うような道でもないか)。




8時01分。この辺まで登山道を登ってくると周りが開けてくる。まもなく、鉄製の橋と梯子が現れる。
おおきな岩を巻くようにコースは進む。



梯子をもう一つ越えて、笹原の斜面に出る。左前方には遮るものが無く焼岳が良く見える。
(写真の中央の笹原の道を進む)


笹原の斜面から左後方に大正池が見える。




8時23分。笹原を行くと切り立った岩場に20mほどの梯子が現れる。
人が登っているのを見ると恐いが、実際はなんのことはない(高所恐怖症の人は大変か)。

その後、鎖場を越え、大きく右に曲がり笹原をジグザグに登っていく(写真の左の山が焼岳)。
上から男女3名づつの6名のグループが降りてくる。全員大学生のように見える。途中ですれ違い道を譲る。 最後尾の男性が「焼岳へ行ってこられたのですか?」と声を掛けてきた。
一瞬「???」、「いえ、これから焼岳へ向かうのですが」と答えると
全員が「こっちではないのですか、自分達もこれから焼岳へ行くのですが」
「この上に小屋があったでしょ。その小屋の正面から焼岳への道があるはずですが」
「あっ、やっぱり、間違っていたのか」
「小屋まで直ぐでしょ?、あまり降りなくて良かったですね。」 感じの良い、さわやかな6人組みを先頭に小屋に向かう(戻る?)


小屋まで121歩の表示。
すこし前方には消えそうな513歩の表示があった。


8時48分焼岳小屋に若人らと到着。
焼岳小屋は安曇村村営の小屋だ。軒下を借りて小休止。
女性の一人が、今日は中尾温泉から登ってきたと話した。
ここから登って焼岳はこちらだと地図を見せた。
楽しそうに常におしゃべりをしているグループだ。
そして「ありがとうございました」と挨拶をして先へ出発して行った。


9時03分。彼らが先へ行くのを待っていたら15分の大休憩になってしまった。 焼岳小屋の正面にある焼岳展望台と焼岳経由中尾温泉と書かれた道標に従い林の中を登っていく。



9時16分。一登りして小さなピークに到着した。焼岳展望台の表示がある。
ここからは焼岳が目の前に見える。結構あるな。きつそうな登りだ。
焼岳へは一旦この小ピークを下って、焼岳へ登るのだが、若人らが大きな声を出しながら先を歩いていくのが見える。 やはりエネルギーが違うのかなと、羨ましく後ろ姿を追う。
(写真正面の頂上が目指す焼岳だ)


焼岳展望台から下った先にある中尾温泉への分岐。
これを見送り、正面の焼岳山頂を目指す。これより先は岩場とガレ場だ、キツそうだ。


しばらく登って後ろを振り向いた写真。
手前の薄緑色の小山が焼岳展望台。その陰に焼岳小屋がある。その先の北アルプスの稜線はガスで見えない。
ここまで来る間に、案の定というか若人6人組を追い抜いている。
良くしゃべるし、良く休憩をしている。彼らの楽しい山行スタイルなのだろう。
大きな声で「ヤッホー」と怒鳴っている。何回もやっている内に、ついに遠くで応えた(どっと歓声がわく)。


岩場とガレ場を登る。頂上は見えているが(実際には見えていなかった)足をとられなかなか進めない。
コースも頂上までの直登コースは無く大きく回り込むようにして進む。単調でキツイ登りが続く。

左上から女性の声が聞こえてくる。大きな声で指示を出している声と、ここはいけないから一旦戻るとか応えている声が聞こえる。 その途中には「ラク!」の連発だ。見上げると中年の女性6人ほどのグループのうち、先行して下っている4人がコースを外れ ガレ場に入り難儀している。
遅れて残された2人もそこへ行こうとしているが、そこはコースから外れたガレ場の急斜面で簡単には近づけない。 無理に下ると小さな石や岩が落ちていく。「ラク!」
結局、後方の2人は遅れたことが幸いし、本来のコースに戻れたが、先の4人は相変わらず難儀して下っている。 その間に自分はその横を回るように登り、その上に出た。(その時の上からの写真、下にいる3人は別のグループ)
何人もの人が心配そうに眺めている。そんな中に元気のある女性の声が聞こえてきた「こんなとこ登るの!」例の6人グループが来たのだ。


10時24分。足元に気を付けて、ゆっくり登りやっと右上に噴煙が見えてきた。 シューシューと水蒸気か火山ガスが噴出する音が聞こえる。
山頂の肩の部分に到着した。そこには中の湯に下る道もある。
その向こうに焼岳南峰があり、三角点はこの南峰にあるのだが、現在登山禁止になっており、この北峰が焼岳山頂だ。
ザックをここへデポして、カメラだけを持って、この噴気孔脇を登って頂上に向かう。


10時32分。焼岳山頂に到着。
山頂からの眺望を期待したが、残念ながら北アルプス・穂高の稜線は霧に遮られ見えない。右下に梓川が見えている
今の時期なら、朝の8時までに来ないとだめか。



焼岳小屋の緑の屋根は良く見える。
しばらくガス(雲)が晴れないかと待つが、時より火山ガスが来るので早々にザックを置いた下まで戻る。
ここで昼食をとって休憩する。しかし若人6人は遅いな。そんな若人6人を心配している自分に苦笑。

10時50分。昼食後に下山を開始。
途中にすれ違う人は何人もいるが、6人グループはいない。
登りで女性グループが登山道から外れ、難儀していた場所に到着した。その脇の登山コースに6人が2箇所に分かれ座っている
手前側にいた男性が自分に気づいて、頂上まであとどのくらいか聞いてきたので、上り30分はかかると教えると、 仲間の一人が捻挫し登れないのだという。
何とか登りたい気持ちが良くわかったので、ここに残して他の人で頂上へ行ってきてはどうかというと、「僕達は全員で登ることが 大切なんです。ですからここで戻ります。」という。その後方にいるグループまで下ってくると、もう一人の男性がやはり自分に 気がついて、仲間が捻挫したこと、朝からお世話になったことの礼を言う。若いのにさわやかなグループに感心。「山は逃げない。 また来年に皆で来ればいいさ」「はい、そうします」


11時43分。ガレ場で滑らないよう慎重に歩を進め焼岳展望台下の中尾温泉分岐に到着。
ここを焼岳展望台まで登り返さなくてはならないが、朝の6時05分から行動しており、かなり疲労も蓄積してきた。 こんな小ピークでもキツイ。急登で足がつった。
やむを得ず途中で座って休憩する。その時遠方から人の叫ぶ声が風に乗って聞こえてきた。さっきの「ヤッホー」と 同じ声だとわかる。男性「ありがとうございましたー」。女性「ありがとうございましたー」。 最初は直ぐ理解できなかったが、どうやら彼らが自分に叫んでいるようだ。振り向いて見るが姿は 見えない。「気をつけて。ありがとう」心の中で応える。


12時13分。焼岳小屋に到着。
500円で麦茶のペットボトルを購入。朝からポカリと水だけ飲んでいたので、麦茶はおいしく飲めた。
このあとは、ひたすら朝来たコースを戻る。そして何人もの人を追い抜いていく(百名山の爺婆なら抜ける)。20mの梯子では 大渋滞。どうぞお先にとの声に、あっという間に下る。「まるで消防士みたい」と婆の声。うれしくない。
でも遠い。疲れた。暑い。


13時53分。沢に到着した。
ここで、手と顔を冷い水で洗う。
気持ちがよみがえる。



14時02分。登山口に到着。



14時13分。田代橋、穂高橋に到着。
朝は誰もいなかったのに、橋の上は観光客で一杯だ。



橋のたもとから振り返ると、焼岳が望める。
楽しそうな多くの観光客を見ていると「俺はあそこを登ってきたのだ」といいたい気分だ。



梓川沿いの遊歩道を観光客に混じり河童橋を目指す。
上高地を散策するために歩いているのではないし、散策する元気も無い。 帰りのバスは始発の上高地バスターミナルまで行かないと、満員で乗れないのだ。
河童橋までの途中どうしても休憩したく、空いていたベンチで靴を脱ぎ小休止。



14時50分。いつきても観光客で一杯の河童橋に到着。



15時02分。河童橋から少しもどり、上高地バスターミナルに到着。見るとその向こうに焼岳がそびえている。
ここから沢渡までバスに揺られ戻る。かなり長時間の行動であったので、疲れた。明日の乗鞍岳は大丈夫か?
でも、気持ちの良い山行になったのは、6人のお陰だと感謝する。

立ち寄り湯


【梓湖畔の湯】長野県南安曇郡安曇村沢渡
入浴料700円、7時〜18時、Pあり、0263(93)2380
沢渡はかつて温泉ではなかった。平成10年に安房トンネル掘削に伴い、大量に湧出した高温 の温泉を約7km引湯して「さわんど温泉」が誕生した。
沢渡大橋駐車場横にある日帰り専用温泉で、場所が便利なので人気がある。内湯と半露天風呂がある。
駐車場を営業しているので、日帰り温泉を利用したいといえば、温泉客用の無料駐車場に停めさせてくれる。 あまり大きな建物ではない。入口を入って700円払う。脱衣場から浴室にでると、窓の外から梓湖が見える。 高台に建てられた施設だ。看板のとおり大展望風呂という感じだ。風呂場の横から露天風呂に出られる。なんとなく ベランダにある湯船に浸かっている感じだ。屋内の湯船にある湯温計は44度もあり、外にある露天風呂の湯温は42度を指していた。 あまり熱いと日焼けが痛いので、露天風呂に浸かった。
大きな施設ではないが、行ったときはたまたま空いていたのか、ゆったりとくつろげた。



山行の記録へ


ホームへ戻る



このページに直接入られた方へ。
当ホームページはこちらです⇒ 晴れときどき山歩記 「丹沢を中心に車で行く、日帰り山歩きの記録」