檜洞丸(西丹沢県民の森)
ひのきぼらまる(にしたんざわけんみんのもり)

1,601m

今回のこだわり。一つはシロヤシオを見よう(今の時期しか見られません)。
二つ目は未踏のルートで檜洞丸を目指そう(マイナーな「西丹沢県民の森」から登ろう)。
ということで行ってきました。

 
エリア 西丹沢 日程日帰り 日付2011.06.05 天候晴れのち曇り
同行者単独 TIME(休憩、食事含む)6時間54分
コース 西丹沢県民の森駐車場(7:31)→ 石棚山(9:46) → テシロノ頭(10:35) → 檜洞丸(11:14)昼食(11:41)  → テシロノ頭(12:17) → 石棚山(12:50) → 西丹沢県民の森駐車場(14:25)

カシミール5万分の1地形図より作成
【参考】国土地理院2万5000分の1=中川



今回出かけるにあたり、二つのことにこだわりました。一つはシロヤシオを見たい。二つ目は 「西丹沢県民の森」から登ろう(マイナーなルートで檜洞丸を目指そう)。ということです。 一つ目のシロヤシオはツツジ科の落葉樹です。皇族の愛子様のお印に選ばれたことでも有名に なった花です。花期は5月末から6月上旬が盛りで、これを逃すとまた1年待たなければなりません。 この花は、枝先に5枚の葉が輪生状に付くことから別名五葉ツツジとも呼ばれます。なんでも、皇太子 ご夫婦が「純白の花のような純真な心を持った子供に育って欲しい」との願いをお印に込めたとも 言われています。
今の時期シロヤシオとトウゴクミツバツツジが見頃の檜洞丸は1年の中でも多くの人で賑わう時期の一つです。 檜洞丸へはほとんどの人が「つつじ新道」を登ってきますが、この起点になる「西丹沢自然教室」は、 早朝から多くの車で一杯になり駐車に苦労をします。今回「西丹沢県民の森」を選択した理由の一つ は、これを避けるためでもありますが、本当の理由はこの「西丹沢県民の森」から檜洞丸へのルート (正確には石棚山稜まで)は未踏であり、前から是非登ろうと思っていました。加えて今の時期 マイナーなルートゆえ混雑も避けられるので好都合ということもありました。 この石棚山稜までのルートは、ある程度荒れていると想像は していましたが、実際に登ってみると思った以上でした。それはこのルートが昭文社の山と高原地図 で赤の実線のルートから、今は破線のルートに変わっていることでも分かります。荒れているという ことは人が訪れないということですが、人が訪れなくなった理由の一つに、この「西丹沢県民の森」 までは、丹沢湖ビジターセンター(バス停玄倉)でバスを降りてから、かなりの距離(6キロ弱)歩かなければなりません。 さらに、ユーシンロッジに至る玄倉林道が2号隧道(青崩れトンネル)の崩壊で通行止めの影響もあり 、現在玄倉側からこちらへ入る登山者はほとんどいないと思われます。ルートのバリエーションが 限られるのです。また、地形図を見ると分かるように厳しい急登で、何を好き好んでここを登ろう という、自分のような物好きはいないようです。ですので「西丹沢県民の森」の名前は立派ですが、 訪れる人も希な静かな山域です。自分にとっては静かな山歩きが楽しめる好きなロケーションの一つ です。このルートは、特に下りでは岩(大きな石)が連続するエリアは踏み跡が良く分からない場所 もありますが、落ち着いて尾根を見ればルートは明確に分かり迷うことはありません。是非一度は訪れ てみてほしいものです。
急登のあと合流する石棚山稜の見事なブナの林は一見の価値があります。このブナの林は艶やかさは ありませんが、その景観に心が癒され自然は守らなければいけないとの気持ちが湧いてきます。なお、 今回の一番の目的であるシロヤシオとトウゴクミツバツツジは左からのつつじ新道と合流した先で 見事な満開を迎えていました。トウゴクミツバツツジの赤は遠目にもその存在が良くわかりますが、それに比べ シロヤシオの白い花は、葉の影に咲くため新緑に陽が差すと木全体が明るく見え、白い花が分かりに くく目立ちません。真下に来て地面に落ちた花殻を見て頭上のシロヤシオに気付くような感じです。 自然の山の中でミツバツツジの強烈な赤は確かに素晴らしい景観ですが、自然に溶け込んだシロヤシオ の白い花は、どこか高貴で控えめであり皇族のお印に選ばれるだけあって上品な花です。この赤と 白の競演は一見の価値があります。




無料。林道終点の路肩の舗装された駐車スペースです。
区割りはありませんが、5台程度駐車可能です。
水、自販機等はありませんが、トイレは100m程戻った所にあります。。

西丹沢県民の森駐車場

国道246号線の清水橋の信号を右折して丹沢湖を目指します。途中道路案内に従って主要地方道710 号線で玄倉方面へ向かいます。県立丹沢湖ビジターセンターのあるバス停玄倉を過ぎ、 三差路の真ん中の道(玄倉林道)を道なりに しばらく走ると、小川谷出合で仲ノ沢林道分岐に到着します。この分岐右側のメインの玄倉林道はユーシンへ向かう道ですが、 現在は隧道崩壊に伴う工事中で通行止めのゲートがあります。 この仲ノ沢林道分岐を左方面へ入り仲ノ沢林道を道なりに3kmほど進んだ林道終点にある駐車場です。


出発

7時31分。
身支度を整え出発です。
登山口は車を停めた林道終点から、
いま来た道を100m程戻った左にあるトイレの、
前の道を上がって行きます。(写真右の道です)



登山道入口は石の階段で、ずいぶん立派です。
左わきには、道標があり、
左 徒歩1時間20分 玄倉
右 徒歩約2時間  石棚山とあります。



施設らしきものなどが何もない、西丹沢県民の森の
立派な階段を上がりながら、左手を見上げると
見る人など誰も来ない場所に、これまた立派な看板が設置されていました。



階段を上がりきると、いきなり山の中です。
何もありません。沢沿いに県民の森の散策用の道が一本続いています。
良く見ると、県民の森の案内図(字は消えほとんど読めません)の下に、
ガムテープで止めたビニールケースの紙に石棚山→の道標があります。



枯れ沢だと思っていた右の小さな谷を良く見ると
落ち葉に埋もれた木の橋と
その先に階段が見えます。
地形図を見ると、どうやら県民の森の外周を回るように付いている登山道のようです。



県民の森の道を外れるように斜面を下り、橋を渡っていくと
割と新しい丸太の柵が付いた道になり、そこを進みます。



進むこと、わずか数分で道は途絶えて無くなりました。
先へ行っても道はなく、戻って左の斜面を見ると(写真の斜面)、
登山道や踏み跡は見えませんが、ここを上がる以外尾根には出れません。



左に斜面を上がって行くと、
草に隠れて登山道があるのが分かります。
さらに進むとハッキリした登山道になってきました。
ヤレヤレです。登山道入口が分かれば後は登るだけです。
いつもそうですが、
登山道の入口が分かるまでは、ヒヤヒヤのドキドキです。
ここまでスタートして8分間でした。


尾根に乗りました。
あとは左方向にひたすらこの尾根を登ります。
先ほどと同じガムテープで止めた案内です。
左石棚山、戻って玄倉とあります。


しばらくは、明るい散歩道のような尾根を進みます。
途中に木のベンチなどもあり、県民の森の小路といった感じです。



直ぐに鹿柵を越えるための丸太の橋に到着しました。
ここができた頃は、鹿柵はなかったようです。後で付けた感じが良く分かります。
県民の森の中にある大正の森への道標です。
ここまでが県民の森といった感じです。



間もなく杉林の急斜面の登りになります。
あまり人が歩いた様子が感じません。



何年か前までは登山ルートとして整備されていた名残の、
丸太の階段の残骸や鉄の支柱などが残っており、
それらをたどりながら急斜面を登って行きます。


だいぶ標高を稼いできました。
周りの植生が杉林から落葉樹の林に変わってきました。



岩混じりの急斜面から、歩きやすい斜面に変わると、
いつの間にかブナの林を歩くようになります。






石棚山稜に合流

9時36分。スタートから2時間05分。
ひたすら登ること2時間で石棚山稜に合流しました。
スタートしてからの稼いだ標高差は700mです。(600mから1,300m地点です)
ここからは斜度も緩やかになり、整備された気持ちの良い登山道を登ります。
道標には(正面)檜洞丸2.8km、(左下)箒沢3.3km、(右下戻って)玄倉6.3kmです。



トウゴミツバツツジが見事です。
シロヤシオはまだなのか。心がはやります。



石棚山

9時46分。スタートから2時間15分。
石棚山稜に合流してから10分ほどで石棚山1,351mに到着です。
山と言ってもピークは無く、尾根の通過点といった感じです。
檜洞丸2.6km、箒沢3.5km、玄倉6.5kmです。



植生保護のための長い階段です。



新緑も美しいブナの林です。



途中にはトウゴクミツバツツジが目立ちます。


美しいブナ林が続きます。
一見の価値ありです。


檜洞丸まで2.1km。
幽玄の世界。






バイケイソウの群生地帯です。


やっとありました。
シロヤシオです。





テシロノ頭

10時35分。スタートから3時間04分。
テシロノ頭1,491mです。
花に夢中になっているとあっという間です。



途中にマルバダケブキの群生地帯がありました。


ユーシンへの分岐

間もなく、ユーシンロッジへの分岐に到着しました。
ここにはバイケイソウとマルバダケブキに埋もれたように木製のベンチがあります。
ユーシンロッジへは、ここを右へ下っていきますが、注意書が付いています。
「玄倉林道完全通行止めとユーシンロッジ休業について」
ここは真っすぐ檜洞丸0.9kmを目指します。


つつじ新道との合流

10時57分。スタートから3時間26分。
左から人の話し声が聞こえてきました。
つつじ新道との合流地点です。
やはりつつじ新道を使って多くの人が上がってきます。
静かな山歩きはここで終わりです。ここからは街中のように人がいます。





ここから檜洞丸山頂までの間は、シロヤシオは一番の見ごろを迎えています。
植生保護の木道を進みます。



おなじみの木道にある中が空洞になった木です。



観測施設?






檜洞丸

11時14分。スタートから3時間43分。
檜洞丸山頂に到着しました。
花を見ながらあっという間に到着した感じです。



ここは丹沢でも外れた場所で、標高も1,600mあるのに、
いつ来ても多くの人でびっくりです。


山頂からすぐ横に、ひときわ鮮やかなトウゴクミツバツツジの木がありました。
今日見た中で、一番赤が綺麗な木です。
写真を撮っている方がいて、なんでも5年間毎年来ているが
今年は一番色が鮮やかだとおっしゃっていました。


下山開始

11時41分。
山頂で27分間の食事休憩をとり、人が多い山頂をあとにし下山にかかりました。
今日は同じルートを戻ります。



つつじ新道との分岐

11時54分。スタートから4時間23分。下山から13分。
ここを左に箒沢、石棚山方面へ下ります。
あれだけいた人が、ここからは誰もきません。(右はつつじ新道)



ユーシンへの分岐

12時04分。スタートから4時間33分。下山から23分。



テシロノ頭

12時17分。スタートから4時間46分。下山から36分。






誰もいないブナの林をひたすら下ります。



ブナ林を独り占め。


石棚山

気持ちがいいです。
12時50分。スタートから5時間19分。下山から1時間09分。



西丹沢県民の森への急な尾根へ

12時55分。スタートから5時間24分。下山から1時間14分。
ここを玄倉方面へ左へ下ります。(写真では右下へ)
楽しかった山歩きはここで終了です。
ここからは地獄の急坂をひたすら下山です。



西丹沢県民の森

14時25分。スタートから6時間54分。下山から2時間44分。
途中から持病の膝痛も出てきました。
やはりキツイ下りです。この尾根ではついに誰とも会いませんでした。
駐車場に到着です。
今日は当初の計画が全て達成した、大満足の山行でした。
お疲れさまでした。




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