南の海から来た丹沢 | ![]() |
丹沢エリア | |
丹沢10名山 | |
丹沢の飲料水 | |
丹沢とヤマビル![]() |
名称 | よみ | 標高 | エリア |
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大山 | おおやま | 1,251.7m | 東丹沢 |
塔ノ岳 | とうのだけ | 1,490.9m | 東丹沢 |
鍋割山 | なべわりやま | 1,272.5m | 東丹沢 |
丹沢山 | たんざわやま | 1,567.1m | 東丹沢 |
檜洞丸 | ひのきぼらまる | 1,600.0m | 西丹沢 |
大室山 | おおむろやま | 1,587.6m | 西丹沢 |
加入道山 | かにゅうどうやま | 1,418.4m | 西丹沢 |
畦ヶ丸 | あぜがまる | 1,292.6m | 西丹沢 |
蛭ヶ岳 | ひるがたけ | 1,672.7m | 北丹沢 |
菰釣山 | こもつるしやま | 1,379.0m | 北丹沢 |
丹沢山塊はヤマビルが出る |
丹沢山塊はヤマビルが出る地域として、結構有名なようだ。 このヤマビルがいやで、夏場は東丹沢(塔ヶ岳、丹沢山、蛭ヶ岳)から宮ヶ瀬湖までの地域には極力近づかないようにしている。 そうも言っていられないので、ヤマビル害を防ぐためにも調べてみました。 |
蛭ヶ岳はヤマビルに関係する? |
丹沢山塊の最高峰はご存知のように蛭ヶ岳1,672.7mだ。単純に考えると、丹沢は
ヤマビルが多いので、山の名にもヒルという名称が使われていると。しかし、この説はどうも違うようだ。
蛭ヶ岳という名称の由来については、蛭ヶ岳山荘のパンフレットに掲載されている。 『坂本光雄氏は「丹沢の山と渓谷」で「猟師が使った山頭巾を昔から”ヒル”と呼んで、山の仕事はもちろん、物々交換 で米などの穀物を計るのにも使い猟師にとっては欠くことのできないものであった。この山頭巾の形が、蛭ヶ岳の山容 によく似ていたので、この名が付けられたのであろう」と記している。また、「山の神の民族と信仰・丹沢 桂川 足柄・ 佐藤芝明著・中央公論事業出版」によれば、丹沢木地師の足跡を訪ねての中で、「蛭ヶ岳の名は「蛭谷」から来ている ように思えるのである。滋賀県永源寺町の「蛭谷」は木地師の聖地であり、西から関東に進出した木地師達は山容が 鈴鹿山系に、標高も似ていることから「ヒル岳」と名付けたのかもしれない」と述べている。』 |
ヤマビルとは?(種類、生態、活動、鹿) |
丹沢にいるのは”ヤマビル”で森林や山中に生息する。沼や池にいるのは”チスイビル”
というものだが、両方とも血を吸う。環形動物(ミミズの仲間)である。雌雄同体。 赤褐色で背中に3本の黒い縞がある。大きさは2p〜8p位。吸盤を持ち、しゃくとり虫のように移動する。 湿り気のある沢の近くや、動物や人が通る山中に生息している。 活動時期:5月〜10月ごろ。雨上がりの後は要注意。 越 冬:11月〜4月ごろ。石や落ち葉の下で越冬。 寿 命:2,3年は生きるそうだ。 鹿に取り付いて移動している。丹沢は鹿が繁殖し、樹林を食い荒らすので問題になっており、ヤマビルもこれら鹿と一緒に 活動圏を拡大しているようだ。 |
丹沢の生息地区 |
厚木市(飯山〜白山)、愛川町、津久井町、清川村 丹沢山系『原小屋沢、姫次下、唐沢林道、塩水林道、一ノ沢峠、物見峠、煤ヶ谷、ヤビツ峠、蛭ヶ岳、大山、塔ノ岳・大滝、 飯山白山森林公園』 宮が瀬ダム、中津川(塩水橋)、丹沢観光センター |
ヤマビルに喰われたら |
吸血は口で皮膚を破って吸う。ヤマビルに取り付かれても気がつかないし、
吸血時にも、痛みを感じさせない物質と血が固まらないようにする物質(ヒルジン)を出して吸血する。ヒルに食われると、
血がなかなか止まらなく、血だらけになるのはこのため。 吸血されたら。無理にヒルを剥がさない。あとで傷口が直りにくい。吸血場所を押し出すようにして、ヒルジンなどの物質を 絞り出す。毒は無いので虫刺され薬(抗ヒスタミン剤)を塗っておく、又は傷絆創膏を貼っておけば大丈夫。 吸血されたら、やったことはないが、塩をかけるというのを聞いたことがある。アルコールを近づけると離れるとも。ライターで あぶれば間違いないと思うが、かわいそうかな。 |
ヤマビルの予防 |
ヤマビルから逃れるには、専用の忌避剤(商品名:ヤマビルファイターが有名)
を使う。 一般の虫除けスプレーでも短時間(3,4時間)なら効果があるそうだ。ただし、雨の時は薬剤が流れてダメ。 裾や袖口から入らないように閉じる。 男女問わず、膝下までのストッキングを靴下の下に履く。(100円ショップで売っているので十分。買うのが恥ずかしかった。) 湿った場所に長く立ち止まらない。心配なら乾いた場所で、靴を脱いで確認する。また同行者に足元を注意して見てもらう。 雨上がりなどには、葉の先にいる場合もあるとか。コワ なお、膝下のストッキングを教えていただいたのは、ヤマビル研究会 です。 |
ヤマビルの警告! |
丹沢のヤマビルは、昔は奥地にひっそりと潜みカモシカの血だけを吸い、
地元の人でもめったに遭遇しなかったそうです。そのヤマビルは15年ほど前(平成5年あたり)から奥地から山里へ、そして市街地へと
爆発的に生息範囲を広げています。 ヤマビルは野生の鹿のひづめの穴に寄生していますが、その鹿は人に追われ丹沢山に逃げ込み、そしてヤマビルと遭遇しました。 温暖化で厳冬でも生きる鹿が増え、大食漢の鹿は山の木や笹を食いつくし、今では反対に山里から市街地にヤマビルとともに出てきて いるのです。そのうえ人里の森や林は林業の衰退で、間伐がおくれ下草も伸び放題で、ヤマビルにとって快適な環境になっています。 現在このヤマビルによる吸血被害を食い止める手立ては見当たらないそうです。 ヤマビルの生息地域の拡大には地球温暖化が少なからず関与しているとは、いかに温暖化が自然にとって脅威であるかを改めて思い 知らされます。直接の原因はヤマビルを市街地に運んでくる野生の鹿が増えすぎたことですが、元をただせば人間の営みが引き起こした ものです。当の人間は特別な目的な悪意による所業でなく、ごく普通に暮らしてきただけでしたが、長い時間をかけ、ゆっくりとしかし 確実に、地球温暖化と同様に自然界へ復元不可能な変化を押し付けてきてしまったのです。 そしてその野生鹿の数を減らそうとしている人間の横暴には残酷さを感じます。決して鹿を殺すなと言っているのではありません。狭い 丹沢山塊に増えすぎてしまったのも事実で、共存共栄を図るには適切な管理が必要と思われます。しかし、丹沢再生の長期的な視野に たった抜本的なビジョンがあるのか知る由もありませんが、短絡的な行き当たりばったりの施策(と思える)で殺される鹿もあわれです。 自然をコントロールできると思っている人間のおごり、思いあがりはいかがなものでしょう。 昨今、大山には厚木市の七沢温泉側からロープウェイを通そうという計画があります。人間は発展という名のもと、自分たちの都合で 自然にインパクトを与えてきました。なぜ、ロープウェイを通さなければならないのでしょうか。今の大山へのメインルートは伊勢原市 側で伊勢原市には経済的な恩恵があり、その利を厚木市も得たいのでしょうか。江戸時代から大山詣でにぎわった丹沢を、首都圏から 近いという地の利を生かし、オーバーユースと思われる現状よりさらに多くの人を呼び込むための観光スポットを厚木市側につくり、 ひいては地元経済を潤したい。そんな人間の強欲さが見え隠れしています。 でも、人間の身勝手な都合などヤマビルには関係ありません。インターネットの掲示板やHPを見ると、丹沢はヤマビルの巣窟のように なり、近づかないほうが良いとの主旨の書き込みが多く見られるようになりました。ヤマビルの風評被害でいまのままでは丹沢を訪れる 人は、激減するかもしれません。現に丹沢を訪れれる登山者はヤマビルの活動期を避けるようになっています。 首都圏に近く貴重な自然が残っている瀕死の丹沢をヤマビルが守っているように思えるのは、考え過ぎでしょうか。 人間よ驕ることこと無かれ、謙虚であれ。 |